本年3月16日、北陸新幹線が敦賀まで延伸され、東京から福井まで乗り換え無しの直通となった。福井県民として永年待ち焦がれた念願がかなうことになった。福井に住む人間の肌感覚と開業後の福井駅周辺、福井県に訪れる観光客の状況をお伝えしたい。
北陸新幹線を使っての東京出張だが、ほぼ毎月、開業後5か月で5回利用している。開業のタイミングに東京出張があり、3月15日従来の東海道周りで、帰りの16日は開通した北陸新幹線を利用した。東海道新幹線で出かける場合は、ほぼ1時間に一本の頻度で「しらさぎ、米原乗り換え、ひかり」という経路で行っていたが、開業後は敦賀で乗り換え、米原で乗り換える為、福井駅を利用する人には東海道を利用することは考えられないようになっている。さらに、東京グリーン券というサービスも廃止された。
(令和6年3月15日撮影、特急しらさぎ、特急サンダーバード)
福井⇔東京直通の「かがやき」を利用するわけだが、午前、午後の各4便だけで、10時半以降16時までの間は金沢でかがやきに乗り換えるか、長野から福井までの各停の「はくたか」を利用しなければならない。それだとこれまでの東海道経由より時間が掛かる。それと、関西空港を利用しての海外出張も今年復活したが、関空までに敦賀、新大阪の2回乗り換えとなり煩わしくなったのが現状だ。関西方面や中京方面は乗り換えが増えてしまった。福井市に住む立場として必ずしも便利になったとは思えていない。
しかし、関東方面から来られる方々にとっては、福井が直通になって行き易くなったことの心理的な効果はあると思う。福井駅も賑わいを取り戻した。終着駅となった敦賀だが、若狭方面の観光を含め開業効果は多大にあり、入込数も大幅に伸ばしている。開業効果に関して種々のアンケート取っているが、たぶんお世辞の部分もあるが、食など評価は悪くなく、まずまずの好評価となっている。しかし、気になっていた低評価として、二次交通とのアクセスが悪いということが挙げられている。福井駅は恐竜博物館ある勝山市、東尋坊のある三国、大野市や鯖江、武生等起点となっているが、車社会で公共交通機関の本数が減ってしまった。一本逃すと一時間以上待つこともあり、東京に住む人の感覚とは大いに落差がある。結局、福井に着いたらレンタカーを利用しないと時間を有効に使えない。ここにきて運転手不足で公共交通機関の便数を減らしているのが現状で改善は難しい。
開業効果に関して、敢えて辛口の評価をしてしまったが真の評価はこれからだと思っている。開業半年間だが、その間東海道新幹線が、事故や風水害、地震等で度々止まっている。その時の混乱を考えると、第二国土軸として敦賀から大阪までの延伸が一日も早い開通が望まれる。また、リニア新幹線の開通後を考えると、中京方面へのアクセスの改善も課題となってくると思う。福井に来たことが無い人がまだまだ多く、これまで知名度が少なかった観光地も多い。その点ではプラスアルファー要素は多い。これまでの観光資源を磨き上げ、利便性の向上を行い、リピーターを作っていけるかも課題だと思う。また、最後に余計かも知れないが、福井は小中学生の学力、体力は常に全国でトップクラスとなっており、2年おきに調査する都道府県別の幸福度日本一では5回連続10年間一位を取っている。住み良い街として、移住者を増やし、新幹線の利便性向上で定住人口の減少のペースを抑えることが出来ればと思っている。