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ニュース繊維製品の輸入浸透率
BLOG2015.6.17
繊維製品の輸入浸透率


2014年度の繊維製品(衣類)の輸入浸透率の発表があったので、業界以外の方に実情を知ってもらいたいので、今回はこのことテーマしたい。
当社イーゲート㈱は婦人下着を製造しているが、業界の位置付けは、繊維二次製品製造業となり、下着を含め普段身に着ける「衣類」を製造している。添付した別表の通り、昨年度はついに、海外生産品が97%となった。
これは、一般の消費者が購入する衣類のほとんどは海外製で、日本製は探してもほとんど見つからないことを意味する。この傾向は、最近起こったことではなく、円高が急激に進んだ80年代後半から始まり、90年代には、輸入浸透率は90%を超え、いまさら敢えて取り上げる事ではないかもしれない。しかし、別表の資料を、注意深く見てほしいのは、この10年でも、逆風の中、生き残った国内の生産量が、毎年減少し、ついに半減してしまったということだ。
イーゲートも2002年に中国に進出し、2011年にはカンボジアに進出したが、国内でも約一割強の生産は行っているが、市場価格の競争は激しく、お取引先の中で、日本製にこだわるお客はほとんどいないというのが現状だ。

もう一つ、読者の方に理解頂きたいことは、末端の労働集約的な縫製産業が円高の中、海外生産に移行するのは仕方がないにしても、その前の段階の織、編み、染め、そして糸を作るところまで、この間、国内の繊維産業が衰退していったことだ、安倍政権に代わり円安になっても、この傾向は止まらないと、強く感じている。
円安になって、海外での生産コストが上がったが、国内市場での価格の上昇は抑えられている。その分、なんとかコストを吸収しようとして、海外で日本と同等で安い資材が無いか探そうする傾向になって、ますます、空洞化に拍車がかかっているようなことを肌で感じる。
親会社となる福井経編興業㈱の方では「テキスタイルはメードインジャパン」をスローガンにテキスタイル輸出比率を上げようと努力しているが、国内存立の基盤となる、産地か瓦解すると一社では成り立たなくなってしまう。人口減少の中で限界集落という言葉があるが、日本の繊維産業も再生できる限界点近くまで来てしまったと思う。
このことの、抜本的な解決策は提案できないが、まずは労働力確保の施策を国家として考えていってほしい。豊富な経験と知識を持った人材が残っているうちに!!