日経ビジネスの1月25日号、トヨタが2022年に発売する2人乗りの小型EV「C+pod(シーポッド)」の記事と、「中国一強」への憂鬱という特集の中に、2020年7月より発売された中国製小型EV「宏光MINI EV」の記事が出ていたので紹介したい。
日経ビジネス 1月25日号 「トヨタが2人乗り投入 距離よりミニ、もう一つのEV市場」:
https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/depth/00907/
トヨタC+pod Webサイト :
https://toyota.jp/cpod/index.html
日経ビジネス 1月25日号 「主要国で唯一プラス成長の中国 「新常態」への適応着々」:
https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/special/00714/
宏光MINI EV Webサイト :
https://www.sgmw.com.cn/e50.html
トヨタの方だが、全長は2.5m未満、全幅1.3m未満で大きさは乗用車のおよそ半分強。2人乗りで航続距離は150㎞ほどで、営業や医療などの訪問巡回や個人の近距離での日常使いを想定するという。価格は165万円(税込)からで、国の補助金を受ければ実質130万円程度で購入できる。最高速度60㎞以下で高速道路を運航しないという条件がある。デザインはいかにも軽自動車という印象だ。
一方、中国宏光の方は、全長2.91m、全幅1.49mで軽とほぼ同じサイズで2ドアだが、ギリギリ4人まで乗れる。航続距離が120㎞の低位モデルの価格2万8800元(約46万円)から、航続距離170㎞で3万8800元(約62万円)の上位モデルとなっている。最高時速は100㎞で、低速専用の車線を使えば、中国の高速道路も走れる。2020年7月に発売して9月から12月までの4ヶ月連続で新エネルギー車の中で販売台数トップを維持し、昨年末までに12万7651台を売り上げた。キャッチコピーは「人民的代歩車(人民のスクーター)」となっている。2輪のスクーターでは天候が悪い時に不便だが、この価格なら名前通り通勤の足として、スクーターに代って普及するのではないかと思った。
当社の中国の工場では、自家用車での通勤もかなり増加しているが、バイクやスクーターの通勤が主流だ。さすがに自転車は減ってきている。日本では道路交通法違反で見かけないが、雨除けの為、後ろから傘を立てる支柱があり雨の日は傘をさして運転することもよく見かけるがいかにも危ない。また、電気アシスト式自転車は日本以上に通勤の際にも見かけることが多い。このことを考えると、本当にスクーター代わりに、瞬く間に普及するのではないかと感じた。また、デザインもかわいらしく、日本の女性向けの軽自動車のような印象だ。
かつて、日本は家電、携帯電話、パソコン等で世界でも大きなシェアを持っていた。しかし、これらのアッセンブリーされた最終製品は現在大きくシェアを落としている。自動車の高度な内燃機関としてのエンジンからEVに替わると部品点数が減少し、コモディティ化が進み技術的な優位性が発揮されないと言われている。
トヨタは日本産業の本丸、最後の砦だと思っているが、小型EVの記事に接すると心配になってきた。家電業界の轍を踏まない様に奮起を促したい。二社を比較して、余程の技術格差をつけるか、価格的に同レベルにする努力を行うか、市場のニーズを捉えながら今後の改善努力を期待したい。