日経ビジネスの9.21号の巻頭の「有訓無訓」で樋口恵子女史のコメントがあった。かつてはテレビ番組のコメンテーターとしてよく見掛けたこともあり懐かしく思い、そのコメントの内容を取り上げてみたい。
(日経ビジネス 有訓無訓 豊かな「ヨタヘロ期」への心構えを持とう〔樋口 恵子氏〕)
https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/00113/00092/
かつての彼女はふくよかな体つきと温厚な語り口でテレビに出演し好印象が残っている。まだまだお若いと思っていたが、1932年生まれ、御年88歳となられており、NPO法人「高齢社会をよくする女性の会」の理事長を務められている。
日本人の平均寿命だが、最新の統計では、男性が81.25歳、女性が87.32歳となっている。但し、健康寿命となると男性が72.14歳、女性が74.79歳(2016年厚生労働省発表データ)となっている。平均寿命と健康寿命との差は、男性で9年、女性が12年あり、女性の方が3年長い。
誰もが理想は「ピンピンコロリ」というが、大抵はピンピンスタスタからヨタヨタヘロヘロ、そしてドタリ。寝たきりになる場合もある。彼女は健康寿命と平均寿命との間の期間を「ヨタヘロ期」と名付けた。
高齢化社会の一番の問題は、この「ヨタヘロ期」をどの様にするかということだ。その中で彼女は三つのショク、「食」「蝕」「職」が大切と説いている。「食」については、とにかくしっかり栄養を取ること。食が細くなると元気がなくなるとご本人の体験から話である。個人見解だが、中国の知人の父親が肉しか食べないながら90歳以上でも元気だと話していたことがあり、私自身の経験からも肉をもりもり食べた方は元気で健康寿命も伸びると思っている。
二番目の「蝕」だが、意味はコミュニケーションのことで、一人で食べている「孤食」の人の死亡率は、みんなと一緒に食べている人の1.5倍になる研究成果もあり、顔を見合わせながら食べられる仲間をつくっておくことは、人との触れ合いとても大事だ。
三番目の「職」は働くことで、高齢者は社会や地域のために、役に立つような働き方をしたいと思っている。高齢者一人一人はたとえ非力であっても、力を出し合って、みんなで助け合い、地域の中で支え合いいくつになっても働けるシステム作ることが重要で、その事で健康寿命も伸ばすことが出来る。
ところで、経営者としての自分はどうすれば良いのだろう。高齢になっても今の社長という立場を譲らず留まることは老害と言っていい。会社の健全な発展には、適当な時期に若い人にバトンタッチしなければならない。しかし、立場を譲った場合、樋口氏が唱えるような健康寿命を延ばせるような活動が出来るか自信は無い。国内でも専門的な仕事で90歳でも活躍している方がいる。とにかく職を得て働くことは健康につながると思う。とても現在の女史の年齢の88歳まで頑張ることは出来ないかも知れないが、経営者としての35年の経験は社会に活かせることがあると思う。将来は人助け、困っている企業の経営のサポートが出来ることを生きがいにしていきたい。