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ニュース米中貿易問題、はたしてどちらの損が大きいか?
BLOG2019.5.17
米中貿易問題、はたしてどちらの損が大きいか?

毎回で恐縮だが、海外出張中の方が意外と空き時間が出来てブログが書ける。今回も中国出張中に書いたものでお茶濁しだがお付き合い願いたい。

当社の中国の子会社「浙江蒂娜尓時装有限公司」がある「諸墍(ツーチー)市」(人口100万人、面積は福井県の越前地方とほぼ同じ大きさ) の場所は、名前の通り上海の西の浙江省にあり、行政の大きなくくりでは紹興市に属している。町は古くは春秋戦国時代に越の国に属しており、中国三大美人で有名?な「西施」の生まれ故郷で、その昔「呉」と「越」の国が争って最初呉が勝ち、戦利品として西施が呉に連れていかれた。ことわざとして残っている「臥薪嘗胆」が生まれた場所である。ちなみに「呉」の国の都は、江蘇省の蘇州市、「越」の国の都は紹興市で、町は知らなくても「紹興酒」はご存じの方も多いと思う。呉越が争った当時の紹興は「会稽」と言っており、紹興酒の中でも「会稽山」という銘柄は特に美味しく有名である。

紹興市だが、「魯迅」生誕の場所で、芦原町出身の藤野厳九郎との交流で、あわら市とは友好提携を結んでいる。また、中華人民共和国の初代首相の「周恩来」の出身の町でもある。

紹興市と会社のある諸墍市の間は約60㎞、その間を結ぶ道の途中に約20㎞離れたところだに「楓橋(フンチョウ)」という人口は分からないが4~5万人の町がある。当社にも、その町の出身者は多いが、この町が中国全土でも有名になっていることを今回の出張で聞いた。現在の総書記の習近平国家主席だが、かつて浙江省の省長、書記を勤めたことがあり、その時「楓橋」を視察した記憶から、中国の小さな町はこの町を見習えと発言しているそうだ。その為、中国全土からの視察が増加し、今回の出張でも全国級の会議がその町で開催されているようだ。見習えという趣旨だが、国や大きな行政レベルの支援を当てにせず自主独立で頑張れということだそうだ。日本の地方都市が国の援助を当てにしているのとは違うようだが、どの様に見習って行政が対応するのかは定かではない。また、諸墍市の南で、金華市に属する100円ショップの製品で有名な義烏市近い所に、同山という町がある。こちらは全国級とは言えないが、省内では有名な白酒(パイチュウ)「同山焼」というお酒を造る町がある。同じく白酒のおかげで町の景気が良いと聞いた。

ところで、話を本題に戻そう。今回の関税適用で生活に必需となる消費財も含まれるようになるが、その生産地は世界レベルで中国の比率が高く直ぐには代替できないものも多い。また、浅薄な知識だが米国系企業や、日系、韓国系の中国企業などの対米輸出も含まれていると思う。直ぐには代替できないので25%の関税分、米国市場で猛烈なその関税分の値下げが行われるのではないかと思う。また、日本では全く見かけられないが、中国ではGM(ゼネラルモーターズ)の車を多く見かける。また、アップルのスマートフォンもステイタスとして持ち歩く人も多い。これらは、米国で生産されたものではないが、今後不買運動の対象となるのではないかと思っている。また、米国からの農産物の輸出品だが、カナダやオーストラリア、アルゼンチン等で代替することは可能な物も多い。中国からの産品だが値下げでダメージも大きくいずれベトナムやインドネシア、インド等に生産基地が移転するとは思うが、米国のダメージも大きいのではないかと思う。

中国人に言わせると、中国からの輸出は中国原産の香港等の対米輸出が含まれており、米国の香港への輸出は含まれておらず、貿易不均衡の金額そのものは正確ではないとの主張もある。米中間のこの問題は双方痛み分けの部分も多く、世界経済にとって良い結果とはならないことが多い。

話は変わるが、今回の出張中、読む雑誌が無かったので「週刊東洋経済」を購入した。その中にトランプ政権のことが書かれていた。日本ではやることが滅茶苦茶で、特に欧州では不人気な大統領だがここにきて米国の支持率が上がり、支持率48%という内容のことが書かれていた。ひ弱な民主党の候補だとこのままだと再選の可能性も高い。中国でも習主席の人気は、先ほどの地方都市への礼賛の話にあるように悪くはない。

世界の各国で独裁的な長期政権が続いているが、民衆の中で強いリーダーを求める気質が見受けられる。このままこの様な風潮が続くことが果たして世界にとって良いのかは疑問だが、世界中が競争の中では強いリーダー求める風潮は続くのではないかと思っている。