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ニュース野球はメンタルなスポーツ?
BLOG2019.4.24
野球はメンタルなスポーツ?

日経ビジネスの4月8日号に、元横浜ベイスターズ監督の権藤博氏の巻頭を飾る談話が出ていた。権藤氏は1998年ベイスターズが優勝した時の監督で、その年絶対的な抑えのエース「大魔神」佐々木主浩投手を擁し、その当時万年Bクラスだったチームを優勝させたことで記憶に残っている方も多いと思う。

論旨は「組織の強さの源は個 結果を気にせず思い切り働ける環境を作る」となっている。その中で「組織のトップの仕事は、個の集まりであるチームに目標を与えること」また、「選手が失敗を恐れず思いっきりプレー出来る環境を作ることだ」と語っている。

選手が思いっきりプレーできるようにするため、彼は次の5つを大事にした。

第1は「積極的にプレーした結果なら、失敗しても目をつぶる」第2は「失敗したり叱ったりした選手には、すぐに次のチャンスを与える」第3は「失敗した選手に恥をかかせない」第4は「選手と直接話をする」第5は「結果についての責任は監督である自分が取る」と書かれている。しかし、これらのことは言うは易いが実行は難しく、部下は言行不一致をすぐに見抜いてしまう。彼はそれをやり通したから優勝できたと思うし、内容はとてもクールだと思う。

全体ミーティングはほとんど行わず、その分選手との直接対話を心掛けたとのことで、「明日からファーム」という通告は、当時のプロ野球チームではコーチが選手に伝えるのが一般的だったが、それを自分で直接伝え、そして必ず降格の理由と2軍でやるべき課題を説明し、選手が納得して練習に取り組めるようにした。また、選手は結果を気にせず思い切りプレーするのが仕事、そして、その結果に責任を負うのが監督の仕事で、結果を気にする選手には「くだらないことは考えなくてよい。俺の仕事を取るな」と話したと語っている。経営にも役に立つ名言で、とても感銘を受けた。

ところで、野球のことを「投げミスと打ちミス」のスポーツだということを聞いたことがある。野球について専門にやった経歴はないが、確かにどんなにコントロールが良いピッチャーでも、プレートからホームベースまで18.44mの距離を正確無比に同じように投げることは出来ない。また、バッターだが、止まっているボールを打つプロゴルファーでもミスショットはあるのだから、やはりミスは起きているのだろう。ピッチャーが打たれたときはコントロールミスと解説者が言うことが多いが、確率は少ないかもしれないが、タイミングさえ合えばボール球でもホームランになっているケースも見かける。

また、試合を見ていると流れというものを感じることも多い。プロの投手も人間で気持ちの持ち方で腕が縮んでコントロールミスすることもあるし、バッターもプレッシャーで打ちミスすることもあると思う。特に大事な試合、世界野球選手権やオリンピックの試合を見ていてそう感じた。

話は変わるが私自身は長年阪神タイガースのファンだ。しかし、ここ数年、阪神の実況中継は見ていない。見るとあまりにも打てなくてフラストレーションが溜る一方になってしまう。打てない原因だが、阪神ファンから怒られそうだが、ファンに問題があるのではと、近年思うようになった。

以前監督だった、野村克也氏が経験談として阪神の監督が一番難しいと言っていたのを耳にしたことがある。阪神のファンは熱狂的過ぎて、もちろん相手チームにもプレッシャーを与えるが、ミスした味方選手にも大きなプレッシャーを与えているのではないか。毎年大型補強をするジャイアンツも優勝から遠ざかっているが、人気チームほどプレッシャーが強いのではないかと思う。

話は戻るが、優勝から久しく遠ざかっている阪神だが、権藤氏のような方が監督になれば少しは伸び伸びと打てるようになり、成績も良くなるのではないかと思う。しかし、権藤氏では阪神の監督は務まらないのではないかと思った。今の阪神というチームとファン、さらにマスコミには、失敗を許す雰囲気が感じられないのが理由だ。

素人の私が言うのにはあまり説得力は無いが、今年も最下位になりそうな阪神の成績を良くするには、失敗に寛容な、メンタルにあまりプレッシャーを掛けないようにファンが寛容になることが肝要だと思う。