業界の動向については、前回の1で触れたが、この一、二年、AIが登場し、これから、この業界の常識も大きく変換するのでは感じている。特に、お隣の中国の目覚ましい変化は、何れボディファッション商品市場にも、ネット販売だけでなく、さらに大きな変化をもたらすのではないか予想している。
この環境の中で、なんでも自前主義は、非効率的だと考えている。自前ばかりでは、変化への対応スピードにも問題が出てくるし、リスクも大きい。これからは、同業との連携ということも、今後の生き残りで必要と考えている。いきなり提携とはいかなくても、交流を通して、相互に学び合い共に高めていくことも重要だ。
今回は、事業歴も浅いにもかかわらず、最近目覚ましく売り上げを伸ばしている会社があり紹介したい。その会社の最大の特色は、起業した社長が、日本人では無く上海出身の中国人ということだ。日本の大学を卒業後、貿易商社に勤務、3年後には、服装雑貨等の輸入販売会社を設立、4年前に下着部門が独立し今日に至っている。社長の年齢は私より20歳若い。
東京の東京タワーの近くの芝公園に本社があり、今回はそちらに訪問した。本社には、約30数名のほぼ日本人で構成するスタッフがいる。また、上海市青浦区には、約200名の企画支援や物流検品を行う現地スタッフがいる。工場は6年前に安徽省の宿州に設立した工場と、河南省に4年前に設立した、1500人規模の工場を有している。安徽省の工場も元々は江蘇省の蘇州から移転したのだが、とにかく展開が早い。現在はミャンマーの開発区に土地を借りて来年を目指して工場を建設する予定と聞いている。
また、昨年11月には、安徽省宿州の同社の工場を訪問させて貰った。その折、どの様な販売先と取引しているのか質問したが、都内のヤング向け下着専門店に並ぶ商品は、全て同社製でないかと思うほどだった。それだけ多岐に亘る取引先の受注管理、生産管理をどうコントロールしているのか、真似が出来ないことで、とても興味深い。
今回の東京芝の本社訪問は初めてとなる。過去、今のところに移転する4年前に五反田にあった時には伺った経験があるが、前にも増して立派になったとの印象を持った。ゆったりとした空間の玄関に続くエントランスが印象的だった。商談後、会食に行く前、是非にとして案内されたのが20名は入れそうな社員用のラウンジで、四角い棚の壁面にはウイスキーやワインが飾られている。
社長の説明では、同社は社員が若く、そんなに持ち合わせが無いので、社員同士の懇親は一般の居酒屋でなく、ここを利用するように奨励しているそうだ。冷凍食品など差し入れても直ぐに無くなってしまうとのことである。月一回土曜を出勤日にしているが、午前中全社員で方針などの会議をし、昼からはこのラウンジとエントランスで、出前を頼んで全員での懇親会を開催する。訪れた時は、桜のシーズンだったが、週末は開花中の桜の切枝を持ち込んで、花見をする予定と聞いた。自慢のラウンジで、私にも紹介したかったのだと思う。
同社と当社だが業務の内容は似ている。共通の売り先もあり、その点ではライバルだ。しかし、共に学び合う点は多い。中国の工場の運営方法は、社長からのお話だが、進歩的で同業の中でも進んでいると感じており、それぞれの良い点を情報交換することは意味がある。また、ミャンマーに進出を計画しているが、当社のカンボジアの経験は、生かせるのではないかと思う。
先にブログで紹介した福井のECビジネス企業や、中国ナンバーワンの下着メーカーも、それぞれ優れた経営を実践している。しかし、本業の繊維製品のメーカーで、他の業界から羨ましがられる経営が出来ている会社は少ない。やり方次第で、まだまだ改善できることがあると学ばせて貰っただけでも、会社訪問は有意義だったと思う。今後も、先方が許せば交流を続けたいと思う。