少々、堅い話で恐縮だが、最近、政治の世界でスキャンダルが多く発生しており、コメントしたい。
森友学園の問題だが、財務省理財局の局長が国会で答弁した内容に沿って、記録文書が改ざんされていることが判明した。行政が、本来、過去に起こったことを遡って内容を改ざんするということは、あってはならない事だ。この点のマスコミの主張には賛同している。しかし、一事が万事で、過去も様々な事情で恣意的な改ざんがまかり通っていたのだろう。また、それを指示したのは誰かということも話題になっているが、その後、その局長が、国税庁の長官に出世したことを考えると、その答弁に、恩義を感じた人事だったのではないかと思う。また、当事者の森友夫婦は、その後、収監されたままになっている。口封じとしか考えられない。
次に愛媛県の加計学園の問題だが、経済産業省出身の首相秘書官が、獣医学部誘致の件で、愛媛県からの一行と会ったか、会わなかったかが、話題になっている。「記憶の限りででは、会っていない」との答弁に対し、自民党の小泉進次郎議員が、「会っていないなら、会っていないとはっきり答えれば良い」と答えていたが、その通りだと思う。愛媛県の職員の業務日報のようなものが出てきて、どうも本人が出てきて、首相案件と言ったのは事実だろう。毎日いろいろ訪問者が来て、陳情等を裁くのが多いと思われ、記憶も曖昧な所があるかも知れないが、うそを言っているとしか思えない。
以上の二つのスキャンダルだが、「忖度」という言葉が出てきている。おそらく、二つの事案とも、首相自らが直接指示はしなかったのかもしれない。しかし、結果としての責任は重い。
今年はNHKの大河ドラマで、西郷隆盛を題材に「せごどん」が放映されている。内村鑑三の本や、鹿児島出身の稲盛和夫塾長から、大西郷の話は教えて頂いているが、世の中のトップに立つ人ほど「無私」でなければならないと、彼は弟子たちに説いている。やはり安倍首相が明治の偉人「西郷」のことを知っているなら、結果として起こった事実は深刻に受け止めてほしい。
さて、この事とは別に、自衛隊にイラク派遣の日報が、かなり歳月が経った最近になり、世に出て来てきた。その内容にはPKO活動(国連平和維持活動)とは別の世界で、まさに戦地に派遣されたような状況が記されていた。
昨年、地元選出の稲田衆議院議員が防衛大臣の任期中、南スーダンに、やはりPKO活動として派遣した自衛隊の日報が、大臣に報告されないまま隠ぺいされ、後から出てきて問題となった。
何れも、建前は非戦闘地域の平和維持活動として派遣したが、実態がかけ離れ過ぎて、現場当局の責任者が、そのままストレートに報告書を出すのは憚られると判断して、隠ぺいが起こったのだと思う。シビリアンコントロール出来ていないという、一部マスコミの論評だが、事実はシビリアンのことを現場が「忖度」し過ぎての結果だと思う。政治の犠牲となったのだろう。イラク派遣だが、日米同盟を重視する政府としては、派遣は止むを得ない判断だったと思う。しかし、憲法との狭間、建前は戦地だが、戦闘が終わった地域への平和維持活動となったが、派遣地域の実情は違っていた。
政治の世界では、建前と本音を使い分けなくてはならない場合がある。しかし、そのギャップに苦労するのは、何時も現場だ。幸いなことに、イラクでも南スーダンでも、自衛隊の犠牲者はいなかった。それだけが救いである。