今国会の目玉となる「働き方改革関連法案」のゆくえが迷走している。厚生労働省が提出した資料に不備が見つかり、当初の法案の目的が骨抜きの状態となっており、成立してもほとんど影響は無い内容に後退した。
そもそも、今法案の狙いはなんだったのか、私自身も良く分かっていない。成果に対する給与という考え方は、働き方とは違うのではないかと思う。成果に対する、それに至るまでの、個々の努力の仕方は、千差万別で、ある人はそれを達成する上で、関連する本を読んだり、セミナーや大学の授業を受けたり、広範な資料を調べたりして、その様にしなければ成果を上げることは出来ないと思う。
リオのオリンピックや平昌のオリンピックの成果を見ても、栄光の陰には人知れず努力したことが背景にある。誰も働き過ぎとか、過労死を心配する人はいないと思う。
この件には、どうもダブルスタンダードがあるように思えてならない。勤務医や学校の先生、国家公務員についても実態はどうなのだろうか。
不当に長時間働かせて、残業代を払わない会社があるのなら、それは、別の規制が必要と思うが、時間とは関係なく、成果を求める仕事の定義をしっかりさせる必要があると思う。しかし、成果を求める人の多くは、もちろんそれに見合った報酬を期待することもあると思うが、報酬だけを期待して努力しているとは思わない。社会的地位や成果を上げた後の処遇で決まることもあるのではないかと考える。
また、多様な働き方の中で、一社に留まらず複数の会社に勤務することも、今回の提案には含まれている。もちろん個人の考えを優先すべきだが、そのことで、勤労時間が大幅に増えることについては、どう考えれば良いのだろう。
「過労死」の問題が取り上げられたが、むしろ、メンタルヘルスの問題の方が多いと思っている。マスコミの取り上げ方にも問題があり、マスコミ自身が行っている「夜討ち朝駆け」という言葉はどうなっているのだろうか。